淡路島の地方創生事業を支える「社内シェアリング」
トヨタモビリティサービスとの共同取り組みで「移動のあり方を変革」

(左から右)常務執行役員 大日向様 / グループアドミ部 篠ヶ瀬様

株式会社パソナグループ

事業内容 エキスパートサービス (人材派遣) 、BPOサービス (委託・請負) 、HRコンサルティング・教育・研修、グローバルソーシング (海外人材サービス) 、キャリアソリューション(人材紹介、再就職支援) 、アウトソーシング、ライフソリューション、地方創生ソリューション
設立 1976年2月16日
従業員数 21,789名(連結・契約社員含む)
導入台数 101~300台(淡路島本社のみ)
URL https://www.pasonagroup.co.jp/

導入前課題

・淡路島に不可欠なクルマを、移住した社員全員が所有できていない
・アナログな社用車管理で、鍵の紛失や受け渡しトラブルが頻発
・急なお客様対応時に車の手配が必要で、移動に不便を感じていた

導入効果

・社内シェアカーの導入により、社員全員のクルマ利用が可能に
・鍵管理の負担が大幅に減り、鍵紛失や受け渡しトラブルもなくなった
・いつでもどこでもシェアカー利用でき、移動面での不便が解消

「社会の問題点を解決する」を創業以来の企業理念とし、国内外の約60社で総合人材サービスを展開するパソナグループ。2020年9月には「本社機能の一部を兵庫県淡路島に移転する」計画を発表し、話題となりました。

その淡路島にトヨタモビリティサービス(以下、TMS)のリースカーで淡路島内の社内シェアリングのあり方について共同で取り組みを開始したのは2019年のこと。今では、パソナグループと運用面を共に構築し、システムを駆使しながら約200台のリースカーを社内シェアカー(以下、社内シェアカー)として配備。パソナグループの社員約700名の仕事と暮らしを支えています。

この共同取り組みにより、どのような課題が解決されたのでしょうか。常務執行役員の大日向様、社内シェアカーの管理にあたるグループアドミ部の篠ヶ瀬様、日々社内シェアカーを利用しているパソナ日本創生大学校執行役員の山本様、人財開発チームの緒方様、淡路島ワーケーション担当の吉田様に話を聞きました。

淡路島のビジネスと暮らしを支える約200台の社内シェアカー

常務執行役員 大日向様

常務執行役員 大日向様

──2020年9月に「本社機能の一部を兵庫県淡路島に移転する」計画を発表したパソナグループですが、それ以前から淡路島で地方創生ビジネスに取り組み、各種のアミューズメントパーク、レストラン、研修施設など、淡路島の資源を生かした施設の開設・運営を進めています。近年の事業内容をご紹介ください。

常務執行役員 大日向様(以下、大日向様):ご指摘の通り、パソナグループは2008年から、淡路島に「夢のある新産業」を創造するべく、様々な事業を展開してきました。

過去1年間のみを取り上げても、新しい取り組みがいくつもスタートしています。

例えば「淡路シェフガーデン」。新型コロナ禍の影響を受けた飲食店のシェフのみなさんを招き、淡路島での新たなチャレンジを応援する27店舗が集合した屋外レストラン施設です。あるいは「ひとり親 働く支援プロジェクト」。ひとり親世帯の一番の悩みは仕事と育児の両立です。

そこで、住宅・オフィス・保育園一体型の施設「ファミリーオフィス」や、インターナショナルスクールほか各種の教育プログラム、食事の用意に学校への送迎バスと、「これがあれば安心して働ける」といえる環境を淡路島に整え、人材募集を行いました。現在は30名のシングルマザーの方が、淡路島で生活をされています。

こうした事業の拡大にともない、パソナグループの社員約700名が淡路島に移住しました。2024年5月には約1,200名まで増える予定です。私の役割は、教育・医療環境を東京以上に充実させるなど、社員たちが淡路島に移住しやすい環境づくり。TMSさんと一緒の取り組みもその一環です。

(左)淡路シェフガーデン(右)ファミリーオフィス

(左)淡路シェフガーデン(右)ファミリーオフィス

──現在はTMSのサービスをどのように活用しているのでしょう。

大日向様:美しい自然に恵まれ、神戸までバスで30分と交通の便もよい淡路島ですが、島内はバスなどの公共交通機関はあるものの、ビジネスや日常における移動はクルマでないとスムーズに移動できないというのが正直なところです。かといって、1人1台のクルマを持つのは現実的に難しい。そこでTMSさんからクルマをリース契約し、「社内シェアリングのあり方」を共に構築し、プライベート利用も一部許可することで、社員みなが「いつでもクルマを使える」環境を整えました。

この取り組みのおかげで社内シェアカーの予約や運行の状況を把握する手間がなくなったのが大きなメリットですね。約200台をアナログで管理するのはまず無理ですから。


社内シェア導入で鍵の受け渡しが不要に

グループアドミ部 オペレーション室 オペレーションユニット ユニット長 篠ヶ瀬様

グループアドミ部 オペレーション室 オペレーションユニット ユニット長 篠ヶ瀬様

──実際に社内シェアカーの管理・運用にあたっている篠ヶ瀬さんに伺います。導入以前は、どのような課題があったのでしょう。

グループアドミ部 オペレーション室 オペレーションユニット ユニット長 篠ヶ瀬様(以下、篠ヶ瀬様):TMSさんの社内シェアカーを導入する以前は、パソナグループの拠点も社員も今よりずっと少なく、社用車も10台程度と数が限られていました。そのため鍵の運用はアナログ。1人の担当者が現物の鍵を管理し、利用者に渡していました。

ところが、2019年頃から拠点数と社員が増え、拠点間を移動する機会も増えたことで、鍵の管理が一気に難しくなりました。鍵の紛失や、鍵が予定時間に戻らず次に社用車を使う社員が困るなど、トラブルが頻発しました。

そんな折に、TMSさんから社内シェアカーの運用を一緒に考えましょうとご提案をいただきました。これにより、社員は自分のスマホから社内シェアカーを予約できるようになり、担当者が管理、運用する負担が大幅に軽減しました。

トライアルが始まった2019年9月の段階では15台のみの稼働でしたが、その後は急速に台数が増え、現在は淡路島内の12拠点をステーションとし、約200台を配置しています。これだけステーションがあると、「どこにいても社内シェアカーを使える」感覚があります。

──社内シェアカー導入により、どんな点が改善されましたか。

篠ヶ瀬様:自分のスマホで車両の予約が確実にできるので、社員からは「確実に予約できるので、自分のスケジュールを立てやすくなった」という声をよく聞きますね。クルマの鍵の受け渡しについてもシームレスになり、紛失の心配もなくなりました。

また、いつでも車が使える便利な環境が整い、社員が淡路島に移住する際の懸念は確実に減りました。レジャーなどプライベート目的の社内シェアカー利用は原則禁止にしているのですが、スーパーへの買い出しや通院など、生活上必要な用途ならOK。これなら生活面も安心です。

私自身、以前は運転をほとんどしないペーパードライバーでしたが、淡路島に来てから毎日運転をするようになりました。生活範囲が広がり、淡路島の暮らしを楽しんでいます。

以前、社用車管理は東京で行っていました。場所が淡路島に変わっても、TMSさんのきめ細やかな対応はどこにいっても変わらず、特に車両の提案から手配、メンテナンス体制まで全国どこでも均一なサービスを提供してくれて、管理者にとっても利用者にとっても「安心安全な社用車の運用」が実現できていますね。


視察、研修、通勤…「いつでもどこでも使える」嬉しさ

──みなさんが具体的にどんなシーンで社内シェアカーを利用しているのか、教えてください。

社内シェアカー(NOAH・C-HR)

社内シェアカー(NOAH・C-HR)

パソナ日本創生大学校 執行役員 山本様:私は、各種の研修プログラムを企業に提供する「パソナ日本創生大学校」に関わっています。そのため、淡路島に視察にやってきた企業の方を社内シェアカーでご案内することが多いですね。研修内容をご理解いただくには、実際に現地を見ていただくのが一番。1日かけて島をめぐります。

ご案内する場所がまちまちなので、ステーションの数が豊富なのは有り難いです。その時のアポイントに応じて、社内シェアカーを借りる場所を変えられます。また、ご案内するみなさんの人数を考えると、「ノア」など大型のクルマを置いていただいているのが助かっています。

個人的には「C-HR」のデザインが好きです。(パソナグループの)南部代表も「C-HR、かっこいいよね」と言っています(笑)。社内シェアカーによりいろいろなクルマに乗れることがモチベーションアップにもつながりますし、仕事をしながら移動を楽しむことができています。

グループ人財開発部 人財開発チーム 緒方様:寮からの通勤に毎日シェアカーを利用しています。寮からすぐの駐車場がステーションになっているのが便利ですね。行き帰りともに寮のメンバーと同乗することも多く、その意味では、車内はいいコミュニケーションスペースかもしれません。

人財開発チーム 緒方様・淡路島ワーケーション担当 吉田様

人財開発チーム 緒方様・淡路島ワーケーション担当 吉田様

淡路島に来ている社員はみな、新しい環境でチャレンジする意欲がある人たちです。そんな仲間と一緒に働けるのは、私にとっても嬉しいことです。

私の担当業務は、淡路島で行われるパソナグループの新人研修です。研修に使うスクリーンやプロジェクターなど大きい荷物を運ぶにも、社内シェアカーはなくてはならないもの。体調不良者が出たら病院に運ぶなど緊急対応ができるのも、いつでも使える社内シェアカーならではだと思います。なので、私のお気に入りは大容量のノアですね(笑)。

Awaji Marketing Hub PMOユニット 淡路島ワーケーション担当 吉田様:同じくノアが好きです。僕的には、海と夕陽がきれいな淡路島の西海岸ルートを走るのが、気持ちいいです。

業務では、淡路島に視察にやってくるお客様をご案内したり、島内の自治体や企業を営業で回ったりする際に、社内シェアカーをよく利用しています。お客様から「すぐ来て欲しい」とお声がかかる場合もあるのですが、そんな時もスマホでパッとシェアカーを予約してパッと乗りこめる。

かつて僕が配属されていた支店は、社用車をアナログで管理していました。それに比べると、淡路島の社内シェアカーのほうが使い勝手ははるかに上です。


社内シェアリングのあり方を一緒に作るパートナー

取材地:ワーケーションハブ

取材地:ワーケーションハブ

──TMSに今後期待するサービスはありますか。

大日向様:車両共有化から運用・メンテナンスに至るまで現状には満足していますし、TMSさんとの共同取り組みがなければ、淡路島でのスムーズな移動は実現できませんでした。クルマの台数が不足している状況なので、これからもっと社内シェアカーの台数、バリエーションを増やしていきたいです。もっと使いやすい、もっと社員から喜ばれる運用を目指してTMSさんと共にチャレンジしていきたいですね。

これまでもTMSさんには淡路島内での移動のあり方やその効率的な運用を議論し、社内シェアリングのあり方を一緒に作ってきました。今後、私たちも淡路島に来る社員がますます増えると新たな課題が出て来るでしょうが、その都度ご相談させていただき、より良い仕組みを構築していきたいです。TMSさんからのご提案を楽しみにしています。

(取材・執筆:東 雄介 編集:桐生 幹太 撮影:土方 翔太)

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